つげ義春旅写真

4−大鹿村・大河原村(長野県)

上村から先が廃道になっているため、また迂回して大鹿村へ行ってみた。こちらは山間としては広がりのある明るい景色で、山間の閑散といった印象だった。あまり風情のない鹿塩鉱泉に一泊。
 菅江真澄は「伊那の中路」で大鹿村についてほんのわずかだがふれている。頼朝の日記(吾妻鏡)に鹿塩、大河原の庄が記されているそうなので、古くから人が住みついていたようである。
 大鹿村から上村の方向へ少し戻り、大河原村へも行ってみたが、こちらも街道筋らしい景観は残っていなかった。わりと立派な地芝居の舞台が残っていたのは、娯楽の少ない山村の暮らしの唯一の慰安だったのだろう。祭りの終わったあとの寂寥感がただよっているような赴きだった。人生の舞台を下りる老いた人(現在の私)の心境も同じだ。

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