つげ義春旅写真

4−麻績再訪(長野県)

 二度目の麻績宿では3年前と同じ宿屋に泊まった。宿名は忘れてしまったが、今手もとに残っている資料によると、街道時代の「中橋」という旅篭屋だったのではないかと思える。一階の部屋の天井を見上げると、いきなり二階の床板が見える造りで、大きな鉄釜の尻がむき出しに見え、二階の掘コタツの底だった。当時の旅篭はたいてい合部屋だったから、寒い冬はみんなコタツで丸くなっていたのだろう。
 この麻績宿も高速道路のインターが西の宿はずれの方にできているのを地図で確かめ、ついため息がもれた。古くて役立たないものが廃れていくのはやむを得ないにしても、自分も廃れつつあるので吐息がもれたのかもしれない。何もかも昔はよかった。

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