つげ義春旅写真

2−上村(長野県)

 水窪から秋葉街道を北上する途中の青崩峠は、通行不能になっていて、最新の地図で調べてもそのままで、いつ頃から崩れた峠になったのだろうか。復旧させるより廃道にするほうが手間いらずとはいえ、歴史の道が消えてしまうのは惜しまれてならない。
 やむなく迂回して、飯田線の平岡からバスで上村に向かった。上村は宿場らしさがよく残り旅籠屋が三軒あった。この辺りは古くから「遠山郷」と呼ばれているようだが、辞書によると「郷」とは、「律令時代の地方行政区画の最下級の単位」とか。
 40年ほど前、飛騨の白川郷や新潟の秋山郷へも行ってみたことがあるけれど、いかにも郷らしかった。白川郷には、三畳ほどの流人小屋が復元されてあった。昔は流刑地に指定されるほどの僻地だったのだろう。上村は宿場として人の出入りも多かったせいなのか、思ったより人家も多く、郷らしい雰囲気はなかった。小さな小学校もあった。だが、上村から先の地蔵峠も廃道になっているせいか、人も車も通行は少ないようで、静かな佇まいをみせていた。

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